昨年の県議会では9月、12月の定例会で一般質問を行いました。その内容を中心に、活動報告をさせて頂きます。

12月議会一般質問での質問内容

明治25年の紀州勝浦沖サンマ漁船遭難事件について

Q.今から127年前、明治25年12月28日、那智勝浦町沖へサンマ漁に向かった、田辺市を含む紀南地方の749名の漁師が突然の暴風雨に見舞われ、何とか陸にたどり着いた方291名、海で亡くなった方229名、船が操縦できなくなり、東京都の八丈島、青ヶ島、御蔵島に漂着した方は229名でした。貧しい質素な生活をしていた当時の八丈島の人々は、漂着した229人を32日間に亘り、けがの治療・看護、衣食住のお世話、死者の火葬、義援金の募集など献身的な活動を行ったのが、海難史上最大級といわれる「紀州勝浦沖サンマ漁船遭難事件」であります。この史実を地域の子供たちが学習することで、「人を思いやる心」や「情けの心」を学んでいくことが重要だと思いますが、和歌山県として何か歴史的事実として世に残す方法・道はないものでしょうか。

A.この遭難事件に関する歴史資料につきましては、田辺市に慰霊碑が、那智勝浦町に記念碑が残されており、また、大正6年に編纂された『紀伊東牟婁郡誌』に事件の詳細な記録があります。歴史的事実を後世に伝えるためには、それぞれの地域において遺された資料を良好な状態で保存していくことが重要であります。関係市町の取組に協力してまいりたいと考えております。このような遭難事故で、多くの方が亡くなり、また、献身的な救援活動があったことなど、地域の史実等を学習することは、大切なことであります。ふるさと教育の中で、このような各地域の史実を取り上げ、創意工夫ある学習をすることは、ふるさとへの愛着と誇りをもち、貢献できる人を育てるために、有意義であると考えております。

本県におけるひきこもり支援対策について

Q.近年、我が国の若者や中高年層を巡っては「ひきこもり」の状態にある方の増加が社会的な問題となっており、内閣府は、全国で115万人以上の方がひきこもりの状態にあると発表されております。 ひきこもりの状態にある方の支援については、相談につなげること、居場所を提供することで社会との関わりを取り戻すことができると言われています。本県でのひきこもりの就労を含めた支援の現状、県の取組や課題について答弁をお願いします。

A.県では、県民の友やホームページなど、様々な広報媒体を通じ、相談窓口の周知を図るとともに、保健所の相談につながった方に対しては、必要に応じ、家庭訪間での相談対応を強化しています。就労支援については、現在、那賀振興局を除く6振興局及び串本支所に就労支援員を配置し、求人情報の提供などの求職活動支援を行っております。簡単な作業の手伝いや農作物の収穫の手伝いなど、決められた時間で他の者と一緒に作業を行うことを通じて、規則正しい生活リズムを取り戻し、協調性を身につけてもらうなど就労に必要な基礎能力を形成するための支援を行っております。

9月議会一般質問での質問内容

田辺市上秋津地内斜面崩壊について(令和元年9月19日時点)

Q.7月28日、上秋津地内の斜面において大規模な斜面崩壊が発生し、県道田辺龍神線が、今なお通行止めとなっています。本県道は、田辺市龍神村から田辺市街地へと繋がる基幹道路であり、大型車の通行も困難であることから、通行止めが長く続けば、地域住民の生活や経済、観光面等への甚大な影響が懸念されます。8年前の紀伊半島大水害当時、山腹崩壊によって通行止めとなった国道311号では、元の道での緊急通行に対応して頂き、発生から約1ヶ月程度で通行が可能となり、大変有難たかった記憶があります。今回は、そういった対応はできないでしょうか?また、大型車の通行についてもご配慮願いたい。

A.今回の県道田辺龍神線の斜面状況については、崩壊発生後も地すべりによる移動が活発していること、崩壊した箇所の背後斜面に新たな亀裂も見つかっていることから、現道を活用した安全な通行の確保は困難であると判断し、右会津川の対岸へ渡る仮設道路を計画しました。県としては、仮設道路を早急に設置し、安全な通行確保に取り組んで参りたいと考えております。ご理解・ご協力をよろしくお願いします。

都会からの高齢者の受け入れについて

Q.今後、都市部で急増する高齢者の受け入れ先として故郷に帰りやすい環境を整えるべきだと思っています。現行のルールでは直接施設に入居する場合は出身地の市町村が介護費用の負担をすることになっていますが、元気なうちに移住して、その後、要介護状態になった場合はその市町村の負担となることから、受け入れ推進にあたっては課題になっています。その点がクリアーされれば、ふるさと回帰の移住推進もスムーズになり、首都圏への人口の一極集中が緩和されるのではないかと思いますが、県の考えをお聞かせください。

A.元気な高齢者を受け入れることは、高齢者がこれまで培った径験や知識を生かし、仕事はもちろん、地域社会の様々な場面への貢献が期待でき、地域全体の活性化につながるものと考えています。本県では、都市部から地方に移住した元気な高齢者の介護費用については、高齢者のこれまでの住所地の履歴等を把握した上で、過去の住所地の保険者にも費用を負担してもらうような制度を創設するよう、国に対し提 案を行っているところです。

地域交通体系の整備について

Q.人口減少によりバス路線の廃止が進んだ過疎地域では、交通手段を持たない方々の通院等の対応について、現行法では都道府県は「広域的な見地から必要があると認めるときには、市町村と密接な連携を図りつつ主体的に取り組むよう努めなければならない」とあるが県の考え方、これまでの取り組みについて、お聞かせください。

A.県では、複数市町村に跨がるバス路線については、国と県で赤字額をバス事業者に補助することにより広域的・幹線的な路線の維持を図っているところです。また、県で独自に作成したバスや鉄道のルートと利用状況などを図示した公共交通マップを活用して、地域公共交通の確保に向けた意見交換を実施するとともに、路線バスや乗合タクシー等をどのように組み合わせたら良いのか、利用促進をどのように図れば良いのかなど、市町村や事業者の方々と一緒になって検討しております。

介護保険料の抑制について

Q.和歌山県では平均6,538円と全国で4番目に高い保険料となっているが、これだけの保険料を払いながらいまだに「介護離職」や「老老介護」が後を絶たない状況です。介護サービス付き高齢者住宅と小規模多機能型居宅介護事業所の複合施設のような施設が今後の制度の在り方のモデルであり、例えばそのスタッフの何割かを地域のボランティアで対応するなどすれば、結果として保険料の抑制につなげられると思いますが、県として、今後も高くなると見込まれる介護保険料への対応をどのように考えていますか?

A.県では、要支援1や要支援2などの介護の必要度が低い軽度の方を対象に、自立につながる適切なケアプランを検討するための「地域ケア個別会議」の立ち上げを市町村に働きかけ、理学療法士などの専門職の助言により、ケアプランに適切なリハビリテーションなどを反映させることで、軽度の高齢者が再び自立した生活を送れるよう取組を進めているところです。

森林環境譲与税について

Q.今年度から「森林環境譲与税」や「森林経営管理制度」がスタートし、市町村の業務は増加しております。もともと、林業専門の職員を有していない市町村では、その対応に苦慮しているとも伺っているが、市町村への体制支援についての県の考えをお伺いします。

A.森林経営管理法に基づき、市町村は、所有者が管理できない森林について委託を受け、経営に適した森林については意欲と能力のある経営者への再委託を進めるとともに、適さない森林については市町村が管理を行うことができます。県では、こうした業務が円滑に進むよう、今年度から担当職員を対象とした実務研修を開催するとともに、市町村を巡回し、課題や相談に対するアドバイスを行っているところです。また、県の林学職OBを活用した支援ができないか、現在、OBに対して意向調査を実施しています。

担い手対策と機械化について

Q.和歌山県における常時雇用形態の林業就業者数は、減少傾向で推移し、平成30年3月末で、674人となり、年齢構成別では、60歳以上の割合が34%と高くなっていると伺っています。こうしたことから、早期に新たな林業就業者を確保していくと同時に、作業の効率化が必要であると考えますが、県における林業担い手の育成・確保と森林作業の機械化の取組についてお聞かせください。

A.県では、平成29年度に農林大学校林業研修部を新設。優れた経営感覚と実践的な技術や知識を持ち、植栽・保育から木材の生産・販売までをトータルにサポートできる人材を育成しています。また、東京や大阪で、紀州林業の魅力を発信する体感セミナーを開催するとともに、市町村やわかやま林業労働力確保支援センターと連携し、仕事・住まい・暮らし等をサポートする体制を整えたところです。機械化の取組については、伐採木の枝払いや切りそろえが一台で行えるプロセッサなどの高性能林業機械の導入を推進しています。また、操作の無線化や荷掛作業の無人化を可能とする油圧式集材機、苗木などの資材運搬が可能となるドローンの開発に機械メーカー等と連携して取り組んでいるところです。

林業施策の方向性について

Q.森林環境譲与税は、本年度より各自治体への交付が開始され、安定した財源としてその活用が可能となりました。そこで、その森林環境譲与税を活用した和歌山県の林業施策の方向性についてお伺いします。

A.県では新規就業者を確保するため、都市部において林業体感セミナーを開催するとともに、就業希望者に対し、本県への移住を促進するためのトータルサポートを行っていきます。市町村では森林管理や木材の利用促進等の取り組みを支援し、雇用創出や素材生産量の拡大に繋げていきたいと考えています。一方、県独自の取組といたしまして、首都圏での展示会への出展や見本市の開催に加え、公共建築物や木造住宅での利用に対する支援などにより、紀州材の販路開拓・需要拡大にも取組んでいます。

森林経営管理制度について

Q.森林経営管理制度において、森林整備の現場では、所有者不明森林や共有者不明森林の問題がありますが、この制度では市町村が一定の手続きをすればその森林の管理を行うことができるとなっていますが、その内容についてお聞かせください。

A.森林経営管理法では、森林所有者を特定できない場合には、まず市町村において登記情報や住民票、戸籍情報などによる探索を行います。それでも、不明な場合は、公告手続きを経て知事の裁定を仰げば、市町村が森林管理を行うことができます。