2024年(令和6年)9月議会 一般質問

2024年(令和6年)9月議会における一般質問と答弁の要旨を掲載します。

治水対策と事前放流(ダム運用と県の関わり)

台風等の激甚化を踏まえ、熊野川(新宮川水系)の利水ダムを、より効果的に治水へ活用するため、事前放流に伴う損失補塡に加え、運用変更や施設改造も含め国へ働きかけるべきではないか

答弁

(知事)近年の水災害の激甚化・頻発化を踏まえ、県としてハード・ソフト両面から治水対策の強化を重要課題と認識している。新宮川水系の利水ダムの事前放流は、2012年から一部で開始しており、2020年以降は治水協定に基づき流域全ての利水ダムで体制を確立している。
ただし、紀伊半島大水害と同規模の洪水では現行の取組だけでは被害を防ぎ切れない可能性がある。既存ダムの洪水調整機能強化について、県単独要望や紀伊半島知事会議を通じ、国へ継続して要望しており、今後も働きかけを継続する。

流域住民の理解(事前放流の判断関与・効果の公表)

洪水が予想される際の事前放流の判断に県は関与しているのか。

事前放流の治水効果を河川管理者として数値化し、地域住民へ周知すれば理解が深まるのではないか

答弁

(県土整備部長)事前放流は利水容量の一部を放流して治水容量を確保する取組であり、個々の実施判断は降雨予測や貯水位等を踏まえてダム管理者が行う(県は判断に直接関与しない)。
一方、運用ルール策定には県も関与してきた(2011年の技術検討会に委員として参画し意見提示等)。
治水効果の例として、昨年の台風7号では風屋ダム・池原ダムで事前放流が実施され、新宮市日足地区で水位が約3m低下するなどの効果を確認している。
事前放流や緊急放流の運用方法・効果を住民へ伝えることは避難行動の円滑化や既存ダム活用の観点から重要であり、河川整備と併せ情報発信に努める。

ダムの長寿命化(堆積土砂対策等)

事前放流の効果を継続して発揮するにはダム湖容量の確保が必要。堆積土砂撤去等の適切管理に関し、現状課題・対策、電源開発の長寿命化計画に対する県の考え方はどうか

答弁

(県土整備部長) 流域治水を進める上で既存ダムの有効活用は重要であると認識している。
電源開発管理ダムでは土砂管理を実施しているが、流入土砂増加や受入先制約により堆積土砂が増加していると認識している。同社は二津野ダムで、土砂・濁水の早期排出に向け、バイパストンネル等の設置も視野に検討中であると承知している。
新宮川水系は土砂生産が活発で、ダム地点だけでなく下流河道~河口・海岸まで影響を考慮し、流域全体で連携して土砂管理に取り組む必要がある。
国交省、関係県、沿川自治体、電源開発・関西電力等で構成する協議会で議論を継続し、施設機能が将来にわたり発揮されるよう連携して取り組む。

能登半島地震の検証(県の検証状況と今後)

能登半島地震を踏まえた県の防災・減災対策の検証について、現時点の状況と今後の方向性はどうか

答弁

(危機管理部長)応援職員派遣が終了した5月から、各部局で本格的に検証を開始している。派遣職員の知見や国の自主点検レポート等を踏まえ、課題の柱として
①自助・共助の強化、②きめ細かな被災者支援(トイレ・温かい食事等)、③応援・受援体制強化(宿泊確保、連携訓練等)、④孤立集落対応等の迅速・的確な初動、⑤インフラ強靱化と早期復旧(橋梁耐震化等)
を整理している。各課題について、既着手・短期・中長期・政府提案が必要なもの等に仕分けしている。
県議会・市町村等へ説明の上、中間報告を速やかに公表し、今年度中に最終報告を公表する予定である。
検証結果を踏まえ、南海トラフ地震等への防災・減災対策を推進していく。

災害時におけるボランティア受入れ体制

災害対策本部設置時のボランティア受入れ体制をどう整備しているか。

災害時の活動を円滑にするため、平時からどのような連携を図っているか。能登半島地震で見えた課題も踏まえた対応は

答弁

(環境生活部長)専門的知識・技能を要する防災ボランティアは、県民生活課が総合調整窓口となり依頼内容を伝達して活動いただく。一般ボランティア(片づけ等)は、市町村社協が設置する市町村災害ボランティアセンターで募集・受入れ。
県社協の県災害ボランティアセンターは、情報発信・資機材提供、必要に応じ災害ボランティアバス運行等で市町村センターを後方支援。県は災害対策本部設置時に職員派遣で運営を強化。
市町村センターが被災等で人員不足の場合、県センターから応援人員を派遣して支援。
平時は市町村社協や自治会・民生委員等が参加する訓練を実施し、円滑な活動環境づくりを推進。能登半島地震を踏まえたシニア災害ボランティアシンポジウムも開催。
課題として交通渋滞、宿泊場所確保、移動距離による作業時間確保の難しさ等を想定し、ボランティアバス運行や寝泊まりできる場所確保等を関係部局と検討し環境整備に努める。

避難所の運営体制・住環境(トイレ・食事・ベッド等)

大規模災害時、避難所運営体制を効率的・迅速に整えるための県の取組はどうか。
避難所で、トイレ・食事・ベッド等、日常に近い快適な住環境を確保するため県としてどう取り組むか

答弁

(危機管理部長)被災市町村だけで十分な避難所運営人員の確保が困難なため、自主防災組織等の地域住民主体の運営を市町村に働きかけている。段ボールベッド配置、パーティションのレイアウト事前設定、応援職員受入れも想定した役割分担の事前整理など、市町村と連携して速やかな運営開始に備える。
快適なトイレ・温かい食事・ベッドでの就寝は重要要素であると認識している。今年度、トイレカーを1台導入し市町村にも導入を促すとともに、県内外の相互応援体制を構築していく。
キッチンコンテナを1台導入し、温かく栄養に配慮した食事を避難所に配送できる体制を検討している。ベッドは市町村備蓄を県が財政支援し、さらなる備蓄を促進している。
南海トラフ地震等では更なる対応が必要であり、民間との連携強化・受援体制強化を進め、平時から関係性を構築する。

地域公共交通とライドシェア(過疎地対応)

ドライバー不足や交通弱者増、交通事業者撤退が進む中、過疎地での「地方版ライドシェア」導入により公共交通の維持・見直しを図るべきではないか。県の取組状況と所見はどうか

答弁

(地域振興部長)県は2024年2月に「和歌山県地域公共交通計画」を策定し、市町村へのアドバイザー派遣やキャッシュレス決済導入支援等に取り組んでいる。
一般ドライバーを活用するライドシェアは運転手不足への有効手段であると認識しており、昨年12月にタクシー事業者・学識経験者等による研究会を設置し、導入地域の検討等を実施している。
日本版ライドシェアはタクシー事業者の経営が観光需要に左右される点等も考慮しつつ、地域の実情に応じて公共ライドシェアやデマンド交通等も組み合わせ、移動手段確保に取り組む。

介護保険:要介護認定の迅速化(デジタル・AI活用)

要介護認定が法定30日以内に行われない例が多く、迅速なサービス利用の妨げや事務負担増が懸念される。
デジタル・AI等で人の関与を減らし、公平性・中立性を高めつつ迅速化できないか。県の認識と取組はどうか

答弁

(知事)市町村における要介護認定の迅速化・事務負担軽減は喫緊の課題であると認識している。
国は本年6月の規制改革実施計画に基づき、デジタル・AI活用を含め制度・運用見直しを行う方針。現行では一次判定後の二次判定(特記事項等を加味した合議)は重要だが、国でAIを導入した自動二次判定システム開発が進められていると承知している。
県として国の動向を注視しつつ、県内の先行事例(AIソフト活用の認定調査、審査会のペーパーレス化等)を横展開し、市町村の事務負担軽減に取り組む。

議事録

議事録(和歌山県議会HP)へリンク

https://www.pref.wakayama.lg.jp/gijiroku/d00218621.html#r06_9gikai_03gou_02